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脳log[20200727]



2020年07月27日 (月) リツイートとトリミングと権利の侵害の話。最高裁上告棄却。新聞の見出しから受けた印象とは裏腹に、記事を読めばトンデモとは思えなかった。■転載禁止の写真をツイートしたのが悪の根源。ではそのツイートをリツイートして転載禁止の画像を URL としてではなく見える状態で拡散した者の責任は? 悪人を一人挟むだけで、数や実際に及ぼす影響力の点で権利者の権利をより大きく踏みにじりかねないリツイートを行った者の責任が消えるのか?■クリックすれば権利表記を含む画像の全体が見えるというのなら、リツイートをした者が、リツイートをする前に権利表記と転載禁止の文言を確認してリツイートをやめる分別を見せるべきだったろう。「クリックすれば」は通らない。■フェイクニュースの拡散など負の側面が話題になるなかで、リツイートが無節操に後押しされるべき行為だとも思えない。一人なら無力であり無知であっても目こぼしが可能かもしれないけど、数が集まれば力になり暴力ともなる。ツイッター社に考えさせるのがいいのでは。■■■批判的。「リツイート行為と著作者人格権最判令2.7.21(平30受1412) - IT・システム判例メモ」 知らなかったのだけど、「原審では,リツイート行為について,複製権侵害,公衆送信権侵害を否定」していたらしい。この結論は変わっていない。転載禁止をツイートするのがダメだとして、リツイートはその限りではないと。その代わり「最高裁では,このうち,氏名表示権侵害の点について主に判断された。」■その判断に関わってくるのがインラインリンク、直リンクとかいう、定義が紛糾しそうな概念。「インラインリンク(直リンク)と著作権侵害 | デライブ知的財産事務所」■20世紀のインターネットではバナー画像の直リンク(IMGタグのSRC属性にオリジナルのバナー画像ファイルのURLを指定して、バナー作成者、バナー置き場のサーバーに負荷をかける行為)を戒める文言がよく見られ、宣伝に協力する者は自分が管理するWebサーバーにバナー画像をコピーして、Webページに画像を埋め込むときにはそのURLを呼び出すことが求められていた。■このような価値観になじんできたので、他人のサーバーに置かれた転載禁止の画像ファイルを、自分が作成するWebページに埋め込んで表示した場合、これは複製して表示するよりも悪質度が高いと考える。もし、他所のサーバーに置かれた画像を直に埋め込むことで何らかの権利の侵害行為を回避できる、責任を逃れられるという判断が為されるとしたら、これほど有害なことはない。同じような理屈でリツイートにある種の責任がないと判断されるなら、これもまた有害であると考える。■知財高裁も最高裁も問題を正面から捉えていないと思えるし、判断の根拠が誤っていると思う。画像のビット列がどのサーバーからどのサーバーを経由して送信されてくるかは事の本質ではない。それってストリーミングかローカルキャッシュかみたいなクッソどうでもいい議論と同じでしょう。■つまるところ、判断の向いている方向は間違っていないと思うけど、裁判所が駆使するテクニカルな部分が現実から乖離していてナンセンスだから、結論を支持したくない。