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log[20191224]



20191224() 今日『<自閉症学>のすすめは第8章・生物学前回>20191121限られた知識と能力しか持てない一人の読者の感想ではあるが残念な出来だった■神経誘導などの専門用語とオーケトラのたとえを使った導入がどちらも失敗しており興味と理解が喚起されないだからその間2度挿入された自著紹介が効果的だったとも言わない244ージ遺伝的背景があるとはいえASDの急激な増加の原因として集団遺伝学的な常識に則ればった半世紀の間に集団の中でリスク遺伝子型をもつ者が急激に増えたとは想定しがたいしたがって発達障害増加の生物学的要因を探索することには大きな意味があると考えられる「したがって~と考えられるの接続が理解できなかったこの章は生物学の章であり筆者はマウスやラトを使った実験の遺伝的背景にすでに言及しているリスク遺伝子の増加が原因ではな「から生物学的要因の探索に意味があるとは?と疑問だったたぶんこうだろうと後で想像したところでは「したがって遺伝子に因らない生物学的要因を探索することには大きな意味があると考えられると解釈すべきだったと思われる■さらに続く「生物学的要因の探索は薬物と環境ホルモンを経て親の加齢へと至る246ージ上記の父加齢による自閉症リスク増加の原因として真っ先に考えられるのは精子における新たな(de novo)遺伝子変異の増加である「リスク遺伝子が集団の中で急激に増えたとは想定しがたいって書いたのに「遺伝子変異の増加」を「生物学的要因のひとつに挙げるの?と二重に疑問だったたぶんこうだろうという想像では新たな(de novo )遺伝子変異という単語に他と区別される特別な(分野における専門的な?)意味が付与されているのだと思うそれは直後のこの文から想像した自閉症の遺伝子解析では親から受け継いだ変異よりもこのような de novo の変異が多くさらに父方由来が多いことが報告されている「親から受け継いだ」の「親が指すのは両親を含まない祖父母から祖先のことだけだと考えなければ辻褄が合わない逆に言えば高齢の父の精子に生じた(de novo)遺伝子変異は子に受け継がれ自閉症リスクを増加させると考えているが「親から受け継いだ変異ではなくしたがって遺伝的要因にも数えられないということしかし俺はそんな用語の機微や理屈は知らないし伝わらない■これに関して筆者の混乱・推敲不足を考えることもできるあとの方で筆者が遺伝子的に共通する問題を抱えた若年父マウスと高齢父マウスから得られた仔マウスのあいだの差異を調べたことが述べられておりその要因としてエピジェネクスを想定しているそれは高齢父という遺伝子に因らない環境要因の影響を明らかにする実験であるしエピジェネクスは Wikipedia によれ一般的にDNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化を研究する学問領域であるから疑問を感じた部分に入れ替わって無理なく納まる■いや待て「父加齢という環境要因(255) からは高齢父の精子における de novo の遺伝子変異が除外されていないのではない読み直したがたぶんそうそして de novo の遺伝子変異と生殖細胞の形成過程において生じるDNAのコピーミスが原因となるすると親の体の細胞には認められない遺伝子変異が生殖細胞に生じることになるのだ(246) と説明されている結局この筆者de novo の突然変異をどのように他と区別して分類しているのかその扱いが一般の(つまり自分の)感覚からは乖離していてそのままは受け入れられない論理展開の疑問はやはり疑問のまま残った■これがヒトになるのか謎を深めるだけなのかまだわからないけどもうひとつ引っ掛かった部分があった243ージここで遺伝学や遺伝子に馴染みのない方に補足すれば「責任遺伝子とはその遺伝子を構成するDNA塩基配列の中の特定の塩基の違いと疾患や症状の間に有意な相関性がみられることを指す。っしてASDの方のみ「リスク遺伝子Xをもつというようなイメージではない強いていえばASDの方で「遺伝子Xの働きが健常者とやや異なるということを意味するこの部分を一読して「強いていえば~はただのごまかしではないかと思ったのだったつまり遺伝子に対する自分の理解では遺伝子Xとその変型Xが存在していてXを持つ人に自閉症傾向が強いというのならそれ「リスク遺伝子Xをもつと言えるのではないかそれを否定し遺伝子Xの働きが健常者とやや異なると説明するのはただの言い換えでありごまかしではないかと思ったのだった遺伝子というものに対するこの認識の齟齬が他の疑問点を生む根っこだったのかもと今ちっと思っているわからないっとし「遺伝子」を「ゲノムDNAのうちアミノ酸配列をエンコドする部分に限定して「は他の人と同じだと慰めようとでもしたのだろう遺伝子多型 - 脳科学辞典■前から順に読んできて8章で初めて対象読者から外れた感があるこれまでは自閉症児の親や各分野の初学者がそうだと思っていただから非常に読みやすく理解しやすかった■また通底することだけど自閉症を含む発達障害を脳の発生・発達「不具合であると屈託なく述べることやASDをはじめとした発達障害の発症率という文に見られ「発症という語の使用や実験対象として人間とマウス・トを並べて有利不利を比較してみせることや「自閉症の遺伝子解析という語の使用に見られる解析対象に対する想像力の欠如などはいかにも臨床からも社会からも遠い先生の無防備さだと思う「発症という語の使用に関する補足発達障害における発症とはどの瞬間なのかということ発症前・発症後の区別ができるのかということたぶん認知症も含めるべきなんだと思うけど日々関わる人間が見ているのはその人個人のありようであって病やその症状を見ているのではないしまたそう見るべきではないとも思う病に起因する傾向や行動はあるしその原因を探ることも意義のあることではある不都合を病のせいにして救いを得るのは推奨される知恵だと思うし病を理由にして責任能力を限るのも合理的だとは思うでもことが脳の領域に及ぶからこそ黄疸が見られる細胞が癌化しているなどと全く同じように見たものを捉えること病や原因物質器質異常を見るあまり人間を見失ってしまうようなことはってはならないと思う本人は病気や障害を含めて自分であると受け入れてやっていくしかないのだから(否定すれば人生の部分が失われる)これASDをはじめとした発達障害」が「発症するものであるかのような言葉遣いに違和感を覚える理由妥当に思う代替案「発達障害であると診断される人の割合あたり今考えた■章立ては9章までで終わりだった第9章は認知科学8章の人と同じ大学同じ院の異なる研究科の人が書いていて不安があったが一冊を通しても特に刺激的な内容で途中何度も巻末の参考文献を参照しながら(あとで読みたいと思った)一気に読み終えたこれは認知科学人間や動物の心のはたらき「情報処理プロセスとして理解・モデル化しようとする科学である(263) ことと無関係ではないと思うってすごく親和的だと思わない?(何と? 答えは268ージに)■巻末の鼎談でも新たな発見があったそれは9章にもあったのだけどTwitter のあの界隈(※本とは無関係)で見かける議論・用語はこういう考えが背景にあったのかという前提知識を断片だけど窺い知ることができるものだった