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脳log[20230414]



2023年04月14日 (金) 20230309 にも書いたけど『人はどこまで合理的か?』(スティーブン ピンカー)をまだ読んでいる。今は下巻。基準率(base rate)という単語をこの本以外でも見かけるようになったけど(つい先日もツイッターで)、単に本で読んで知ったから目に付くようになっただけで、以前からあったのかもしれない。過去に読み始めたものの頓挫してる『データ解析のための統計モデリング入門 : 一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC』(久保 拓弥)を思い出させる内容もあって、なかなか厳しい。読み物ではあるけども。■またしても言葉について。下巻の 194 ページから、対立軸を例示して「たとえば階層主義か平等主義か、自由主義か共同体主義か、王冠と祭壇か啓蒙主義か、部族主義か世界主義か、悲劇的ヴィジョンかユートピア的ヴィジョンか、名誉を重んじる文化か尊厳を重んじる文化か、集団志向の道徳的基盤か個人志向の道徳的基盤かなど。」とあるが、名誉と尊厳の対立がよくわからなかった。これって同じ側の言葉に見える。思いつく原語は honor と dignity あたりなんだけど、日本語の意味が十分に掴めていないか、日本語にするときに重要なニュアンスが消えてしまっているか、なんにせよ理解が曖昧な部分があるとわかって気になってしまった。雰囲気で違いをでっちあげると、名誉は外から贈られるもので、尊厳は内から出てくるものかなと思ったけど、これまでそういう風に考えたことはないし、それが対立する状況も想像できない。こういうのに答えるの、ChatGPT が得意な分野という気がする。実際の使われ方から意味にあたるものを抽出すること。■■■@2023-04-26 別の本だけど『ファスト&スロー』(ダニエル カーネマン)の上巻 102 ページから、プライミング効果に関する内容だけどそのことではなくて例示されたものについて。「世界には、ひんぱんに尊敬を思い起こさせる文化もあれば、神を思い出させる文化もある。また、「親愛なる指導者」の大きな写真を使って、服従というプライムを国民に与える国もある。」 先々週(14日)に書いたように名誉と尊厳の対比はよくわからなかったけど、この本に書かれている2者+1は、人を上に置くか人の及ばないもの(神)を上に置くかという違いで理解してもいいだろうか。尊敬という一語だけで対象を人に限定してしまう用法に違和感があったけど、明鏡国語辞典によれば「「尊敬」は多く人間とその行為に限られるが、「敬う」は、尊い存在として敬意を払うべき高位のものに及ぶ(恩師[祖先・神仏]を敬う)。「崇める」は、敬うべき絶対的な存在に向けられることが多い(釈尊[神仏・太陽]を崇める)。」とあるのでむしろそういうものらしい。ひょっとしたら2つの本は同じことを指しているのかもしれないと思った。名誉=尊敬、尊厳=神威。無理か? それはそれとして、人と神の対比は、神格化される人がいたり神を代弁する人がいたりして曖昧に感じる。それよりも、人であるか神であるかにかかわらず自分の上に他者を置く心性、分を弁え身を修め奉仕する心のありようが共通していると思った。日本人が外国人に対して「無宗教です」と伝えるつもりで「無神論者です」と伝わってしまってやべー奴だと誤解されてしまうというエピソードがしばしば語られるけど、無神論者のやばさって、そういう心性の欠如として理解すればいいのだろうか。アナーキストに近い概念だと説明されることがあるけど、無宗教・無神論に対するイメージが実はよくわからない。無というよりは反で、反宗教的な活動家、みたいな?