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脳log[20130624] Sakura Editor / PatchUnicode / #618 Singletonの実装変更



2013年06月24日 (月)

最終更新: 2013-07-14T00:41+0900

[C++][SakuraEditor] Sakura Editor / PatchUnicode / #618 Singletonの実装変更

静的変数の初期化とマルチスレッド安全性。C++11より前と VCに関してはお寒い状況らしいが、そもそものコードが素朴なものだった。

もともとマルチスレッド対応ではないので静的変数で実装するのは大差ないとして(マルチスレッド対応コードを自分自身で書く機会を放棄することにはなる?)、唯一性の保証を TSingleton利用者に期待するというなら TSingletonはただグローバルアクセサを定義する手段になってしまう。この assertで従来通りの保証ができるかなと思ったんだけど

TSingleton(){ assert(this == static_cast<TSingleton<T>*>(T::getInstance())); }

static変数の初期化にロックがかかってたらこれはデッドロックを引き起こすんでない?ロックせず素通りしてしまうと未初期化オブジェクトを使用してしまうおそれがあるよね? C++11に対応した gccはどうやってるんだろ。

パッチの目的はデストラクタが呼ばれるようになることにあるらしいが、一方で、任意のタイミングでオブジェクトを破棄することはできなくなる。それはシングルトンオブジェクトにはそぐわない扱いかもしれないけど。

本当に stackoverflowのコードを利用するなら継承をやめたらいい。そうすれば TSingletonの利用者などというものは存在せずシングルトンクラスの実装者しかいなくなる。実装を提供するだけならマクロでもできるし、あえて継承にする理由は一元的にインスタンス作成を補足することではないかと。偽りの名前を与えられた中途半端な実装を別ファイルに隔離するのはどうかと思う。


3回ぐらいコメントの下書きをしてるけどぐるぐるしてまとまらなくてこの日記になる。


 @2013-06-25

インスタンス変数を関数内staticではなくクラス内staticにするとアドレスを取得するのに getInstanceを呼ぶ必要がなくなって、getInstanceとコンストラクタ呼び出しがネストしなくなってロックの可能性(そんなものが実在するかは gccがないので知らない)が消える、と思ったんだけど、すべてのシングルトンオブジェクトの初期化がプログラム起動時に走ってしまいそうだ。これを避けるとインスタンスをポインタで保持することになって、これは現在のコードだ。インスタンスを関数内staticで保持したまま、getInstanceでそのアドレスだけをクラス内static変数にコピーする、とかいうのはトリッキーなわりに利がなくて目的を見失ってる感。

クラスで実装するシングルトンってなんのためにあるんだろうね。アプリケーションクラスだけがシングルトンでそれ以外はそのメンバでいいやん。Javaとか C#の Main関数みたいな居心地の悪さがあるかしらんけどさ。


 @2013-07-12 クリティカルセクションは他スレッドを閉め出すもの。

同じスレッドであれば同じCRITICAL_SECTIONを引数にして何度でも EnterCriticalSectionできるらしい(同じ回数の LeaveCriticalSectionが必要)。

各スレッドはクリティカルセクションの所有権を取得した後は、自らの実行をブロックすることなく、EnterCriticalSection または TryEnterCriticalSection 関数を追加で呼び出すことができます。この結果、スレッドが既に自ら所有しているクリティカルセクションを待機しようとしてデッドロックに陥ることを防止できます。

というわけで、コンパイラが静的変数の初期化を実際どう実装するかは知らんけど、あまり気にせず上の方に書いた assertを使っていいんじゃないかな。

イベントを使ったのはこのとき(20130416)が初めてで、クリティカルセクションはまだ使ったことがないのでした。たぶんその存在はペゾルドさんの本で読んだんだろうなあ。9年前