脳移植により他人の脳片を埋め込まれた男が変わ
主人公・成瀬純一の言葉
生きているというのは、単に呼吸しているとか、心臓が動いているとか
ってことじ ゃない。脳波が出ている ってことでもない。それは足跡を残す ってことなんだ。後ろにある足跡を見て、たしかに自分がつけたものだとわかるのが、生きているということなんだ。だけど今の俺は、かつて自分が残してきたはずの足跡を見ても、それが自分のものだとはどうしても思えない。二十年以上生きてきたはずの成瀬純一は、もうどこにもいないんだ (p.p.236-237)
それに対する堂元博士の言葉
君は昔自分がつけたはずの足跡が、自分のものでなくな
ったという。しかしそれでもいいではないか。(略)。だが彼ら(注・老人)はやがて自分の足跡がどこにあるのかも、自分が足跡をつけたという事実さえ忘れてしまうという状態になる。(p.p.260-261)
他人事じ
* (1)と(2)では自分の依