自分の高校時代が思い出されてイヤだ。そのまんまだよ。
周囲とうまく付き合えない女子高校生が唯一理解し合える友人を見つける。恋心を抱くまでになったその相手は、初めて会った日に自分をかばって事故で死んでしまう。少女は今(ラスト)では普通の大学生。
どこの学校にも一人はいそうな少女の話に「頭の中の携帯電話」という要素を加えて短編に仕上げている。頭の中の携帯電話は想像の産物だが、それを通じて話をしている相手は実在しているので、(本物の)電話で話したり会ったりもできる。これだけでは単に脳にケータイを仕込んだ便利で電波なヒトなのだが、ミソはこの携帯電話を通じて話してる相手と自分の間には常に一定時間のずれがあり、未来もしくは過去の人間と話をしているのだということ。これでちょっと面白くなる。
(2004-08-07)
十一歳の少年が二人。一人には他人の傷を自分の体に移す能力と、逆に自分の体の傷を他人に移す能力がある。無垢で周囲に傷つけられることの多い二人がこの能力をどう使うのか。話が進むにつれどんどん痛くなってくるのだが救いのないラストではない。
若干能力に違いはあるがグリーンマイルのジョン・コーフィを思い出す。彼は偶々見かけた死にかけの双子の少女を助けようとしたが間に合わず、その現場を誤解されて殺人の罪で電気イスに座らされる。コーフィは他人にはない人を救う力を持ち、その力を純粋に他人の為に使ったが、自身は幸せになれなかった。
(2004-08-07)
二、三日前に、ファウスト vol.3 に載ってた西尾維新へのインタビューを読んだ。インタビュアーは清涼院流水。そこで本書のタイトルと作者の名前を初めて目にした。
インタビューでの発言と清涼院流水という名前から勝手に想像する人物像。ロン毛。ナルシスト。マッドサイエンティスト。Dr.キリコ。良き兄。
今日古本屋で二度目にタイトルと作者名を目にした。裏表紙のあらすじを読んで、買うことにして、レジに持っていく間にチラッと表紙をめくってみた。前にも後ろにも写真がある。果たして...長髪だぁ。
巻末に「賛否両論のデビュー作」という紹介がある。Amazonで検索する。うわ、表示されてる四つ全てのカスタマーレビューが星一つだ。九件全てを表示する。おお、五つ星が四つと四つ星が一つ現れた(ついでに一つ星も一つ)。まさしく賛否両論両極論。自分はおそらく「賛」に一票を投じることになると思うが、結果は読後に。
ゲームに思い入れのある人ほど受け容れがたいものがあるようで。読む前に不安になってきた。
Amazon.co.jp のカスタマーレビューでくどいほど繰り返されるのが、この本は宮部みゆきによるICOの解釈であって、自分の感じたICOの世界とは違う、ってこと。ゲームが多くを語らない分、プレイヤーの想像力に依るところが大きく、どうしても違和感を感じてしまうのだろう。
それにしても、ICO ってゲームはこんなにも愛されてたんだね。